逆養老保険は、節税の手段として会社経営者に利用されています。
通常の養老保険との違いは、以下の表にも記載されていますが、死亡保険受取人と満期保険受取人が逆なので、逆養老保険と呼ばれています。もう一点の違いは、養老保険は、福利厚生目的であるため、全従業員が加入する必要がありますが、逆養老保険では一般に会社経営者のみが加入しています。
契約者 | 被保険者 | 死亡保険受取人 | 満期保険受取人 | |
養老保険 | 法人 | 全従業員 | 従業員の遺族 | 法人 |
逆養老保険 | 法人 | 役員 | 法人 | 役員 |
養老保険の経費処理は、
満期保険金に対する保険料・・・保険積立金(資産)
死亡保険金に対する保険料・・・保険料(経費) となります。
仕訳では、
(借)福利厚生費 ○○ (貸)現預金 ○○
保険積立金 ○○
満期になると法人の所得となり、その前に従業員が死亡すると法定相続人の従業員の遺族に支払われます。
逆養老保険の経費処理は、
満期保険金に対する保険料・・・本人に対する給与(経費)
死亡保険金に対する保険料・・・保険料(経費) となります。
詳しく説明すると、半分を福利厚生費として計上していたものを、保険利益が法人になる為に、支払保険料として半額を損金計上します。
残り半分は、満期時に役員が受け取る為に「給与」として処理します。半分が支払保険料で、残り半分が給与であれば法人が負担した保険料は全額が損金にすることができます。
仕訳では、
(借)支払保険料 ○○ (貸)現預金 ○○
役員報酬 ○○
平成24年1月13日16日の最高裁の判決により、グレーであった役員が満期保険を受け取った際の一時所得課税の税務処理の取り扱いが明らかになりました。税務当局の指摘と平成23年度の税制処理のルール通りに申告するようになりました。
税務当局の指摘は、受け取った満期保険金から給与扱いになっている半分相当額については、一時所得課税の計算時に控除しても良いが、法人が負担した保険料分を控除出来ないという事で、満期保険金受取人に対して、一時所得課税を申告すべきという内容です。
平成23年度の税制改正は、居住者が支払を受けた生命保険契約等に基づく一時金に係る一時所得の金額の計算上、その支払を受けた金額から控除することができる事業主が負担した保険料等は、給与所得に係る収入金額に算入された金額に限る旨を法令に規定します、という内容です。
(注)上記の改正は、平成 23 年4月1日以後に支払われるべき生命保険契約等に基づく一時金について適用します。
一時所得の計算は、{(総収入金額-その収入のために得るための支出金額-特別控除額 50万円)×1/2}×税率 となります。
判決により、収入を得るための支出金額が、給与扱いの半分相当額になってしまったので、その分節税ができなくなってしまいました。
それでも、通常の養老保険に比べれば、課税所得が1/2になるので、節税額は大きくなるので、判決が出たことにより、逆養老保険を利用しやすくなったと思います。
ただ、一時所得を受け取る場合は、翌期の住民税が跳ね上がってしまうので、満期保険金を受け取る際には、役員報酬を低めに設定することが望まれます。
逆養老保険を販売している保険会社の営業担当者によると、満期保険分を給与にしていますと、法人の経費にはできるけれども、その分所得税が増えてしまうのが、嫌がる経営者もいるため、給与ではなく法人からの貸付金として処理する場合もあるそうです。
逆養老保険には、まだグレーな部分も存在しています。養老保険は、福利厚生目的であるため、従業員全員が加入しなければならないのですが、逆養老保険は、まだきちんとルールが決まっていないため、現在は役員個人で加入することができますが、今後養老保険と同様に従業員全員が加入しなければならなくなってくるリスクがあります。
がん保険も、法改正により全額損金から半額までしか損金に認められなくなりましたが、改正前までに加入してあるがん保険の損金については、継続して全額損金に計上できることになりました。逆養老保険も、今後法改正がなされる可能性もありますが、がん保険同様に、法改正までに加入している保険については、遡及されることはないと考えられていますので、今が加入時といえそうです。
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