いよいよ保険の世界にも"実質無料"とでも言うべきプランが登場しました。その詳細は、「70歳まで健康ならば、それまでに支払った保険料が全額戻ってくる」という内容になっています。東京海上日動あんしん生命が発表した「メディカルKit R」(メディカルキットアール)というプランです。
入院保障は日額5000円(60日まで)に手術に対する給付もついて、内容はまずまずと言えます。保険会社によれば、同一の保険内容を提供している「メディカルKit」というプランと比べて30歳男性の場合で月額1145円ほど値上がりするということです。しかし、それでも70歳まで健康ならすべて返ってくると考えると嬉しいですし、健康でいようという思いも強くなるのではないでしょうか。
「メディカルKit R」は、本当にお得なのか?
通常のプランよりも保険料が上昇しているということは、裏を返せば「値上がり分を自分で貯金すればいいのでは?」ということになります。通常のプラン「メディカルKit」を使いながら貯金したとしたらどうなるか、ということを30歳男性の場合で試算してみましょう。
「メディカルKit R」を利用した場合
- 70歳までの30年間の保険支払総額:2880円×12ヶ月×40年=138万2400円
- 70歳のときに戻ってくる金額:138万2400円
「メディカルKit」を利用しながら貯金した場合
- 70歳までの30年間の保険支払総額:1735円×12ヶ月×40年=83万2800円
- 70歳までの30年間の貯金総額:1145円×12ヶ月×40年=54万9600円+利子
ということになります。これは、お得か?と一見思うのですが、40年分の利子を計算してみました。
ざっくりと計算すると、年間金利4.08%以上で運用することが出来れば、138万円よりも多い貯蓄額となるようです。4.08%というと、だいぶ高金利ですね。※ただし、実際には保険の給付を受けた場合は控除されるので、確率を含めて厳密に議論すれば、実金利はもっと低いです。
国債金利情報(平成24年12月27日) : 財務省によれば、現在(2012年12月現在)の40年物の超長期国債の金利はおよそ2.1%となっていますから、個人で4%以上の利回りを確保するのは至難の業だと言えます。
さらに、おそらく介護医療保険控除枠が全額使える
そして、おそらくこの保険の掛け金は、今年から新設された介護医療保険控除(年間8万円までの保険料で4万円の所得控除が受けられる)の対象となりますので、節税によるキャッシュバックを考えれば、実際の金利はもっと高いとも言えますので、金融商品としては非常に優秀であると言えます。
本当に選んで良いのか:デメリットは?
果たして本当に選んでよいものでしょうか?デメリットとしては、
- 30歳の場合で40年間もの間自由に使うことができない貯金となる。
- インフレを起こすと明言している「アベノミクス」経済下では金利が上昇する可能性があり、貯金よりも下回る可能性がある。
- 逆に強烈なデフレが襲った場合には、保険会社が破綻してしまい払戻金もカットされ、結果として損になる可能性がある。
といった点を考慮する必要があります。また、保険はあくまでも「万が一の事態に備えて、みんなでお金を出しあって助け合う仕組み」です。そこに「貯金」という役目を負わせてしまったがゆえに、日本の保険制度は変なふうになってしまい、逆ざやで苦しんで生保会社も破綻したという過去もあります。そして、かつての主力商品だった「養老保険」も実質無料といえば実質無料ですしね。なので、しっかりと上記のことを理解した上で吟味・比較してから加入してください。
そして、最後に触れるのは申し訳ないですが、ネット生保系や共済系などを使えば同一の保障内容がもっと安くできるという点。同社の別プラン「メディカルKit」と比較するのではなく、他社のプランをつかえばもっと貯金ができるということです。他社も含めて検討してメリット・デメリットを理解した上で選ぶべきでしょう。
それでも、医療保険において「実質無料」といえるプランを投入したのは、なかなかおもしろい判断だと思いますし、今後もこういう面白い商品が登場すると嬉しいですね。
「メディカルKit R」を検討するなら、東京海上日動あんしん生命を含む30社以上について相談できる「みつばち保険ファーム」に相談するのがオススメです。日本全国に支店があるのでお近くの保険ショップで相談できます。
よりよい条件の保険を選ぶために
医療保険は、さまざまな保険が各社から登場しています。自分にあった保険に賢く入るためには、複数の保険会社と契約をしているFPに相談できる保険のビュッフェ!というサービスを利用してじっくり相談してみるのがオススメです。当サイトの管理人も利用してみましたが、初回の相談ですぐに保険の契約を求められることはありませんので、試しにライフプランニングをしてもらって万が一のときの医療費や、老後に必要となる資金などを試算するといった使いかたもお勧めです。
自宅に来てもらうのはちょっと・・・という場合は、お店を構えている保険ショップがおすすめです。その場合は、日本最大級の保険ショップ「みつばち保険」や、北斗晶夫妻のCMで有名な「保険見直し本舗」など複数のチェーンをまたがって検索できる保険ショップの検索・予約サイトの「LIFULL保険相談」がおすすめです。チェーンによって、駅チカだったりショッピングモール併設店が強かったりと特徴があるのでライフスタイルに合わせて便利な立地の店舗を見つけるのがオススメです。