調査

35歳以下なら、家を買っても団体信用生命保険なんか入らないほうが良い

投稿日:2012年11月15日 更新日:

日本で最も保険料が安い生命保険といわれているものがあります。それは、住宅ローンを借りると入れる(入らされる)団体信用生命保険(通称、団信)。

ほとんどの人にとって人生で一番大きな支出である住宅ローンを、借りた本人が亡くなってしまったときに残額を全額支払ってくれる保険となっています。残された家族が住宅を取り上げられる事のないように、という趣旨で作られた保険です。いわゆる営業コストが殆どかからないこともあって原価に近い値段で売られているため、基本的に住宅ローンを借りるときには団体信用生命保険に入ることになると思います。

追記:無料保険相談を活用することで団信と同じ保障でもっと安くなることが見込めます。この記事では深く触れていない「収入保障保険」や「非喫煙者割引」を利用すると、この記事に書いてある以上の節約効果が望めますので、相談してみることをオススメします。

団信の保険料はいくらなのか?

この保険、加入年齢によらず保険料は一定で、「借入残高」×「特約料」=「保険料」となっているのです。借金を返済していく中で減っていく借入残高に応じて、保障される死亡保障も減少していくという仕組みになっています。借金をチャラにするための保険、なので当然ですね。

例えば、住宅金融支援機構の「フラット35」を借りた人向けに提供されている保険の特約料を調べてみると、

借入残高1000万円あたり年間35800円となっています。

例えば、3000万円のローンを組んだ人なら、初年度は10.7万円(月8950円)の保険料から始まるということになります。

元利均等返済をするとした場合どうなるか、シミュレーションしてみたいと思います。エクセルで計算するのも面倒なので、ローンシミュレーション(元利均等返済/元金均等返済)を使ってみました。

例えば、3000万円を35年間元利金等返済にて金利3%で借りた場合は、毎月11.5万円を「返済」に充てることになります。(フラット35によると、主流の現行レートは1.85%とのことなので、少し割高に出ていますが、後述の保険料支払い目安と合わせるために3%としました。)

有名な話ですが当初はオレンジ色の金利負担が大きく、青い部分のみが元金の返済に回されるので、残高は次のように減っていきます。

このときの保険料は、機構団信によれば1000万円のケースで以下のようになるということです。

3000万円の場合なら3倍すればよいので、当初1年目は35,800円×3=約10.8万円の保険料だったのが徐々に下がっていき、35年間の累計で745,400円×3=約223万円になるということです。

でも、「全年齢で共通の保険料」ということは一見お得に思えますが、若い人から手に入れた保険料が高齢のひとの保障に回っているということなので、例のごとく「若い人にとっては不利」な保険になっているの気がしますね。加入者全体の年齢層よりも大幅に若ければ、民間の保険会社が利益を載せた場合の保険料のほうが安くなるのではないでしょうか?
ちなみに、フラット35の利用者の申し込み時点の平均年齢は、39.6歳だそうです。

団体信用生命保険が損になるのは何歳から?

ということで、今回は、比較広告まで作って「ネット生保最安」と謳うオリックス生命保険と比較してみたいと思います。オリックス生命は、今のところ経過年数に応じて保険金額が減っていくような逓減型保険を提供していないので、期間が異なる生命保険を組み合わせて、全体を4期に分けて、団体信用生命保険を少し上回る保険として作ってみたいと思います。

  • 1年目~10年目=3000万円
  • 11年目~20年目=2400万円
  • 21年目~30年目=1600万円
  • 31年目~35年目=600万円

赤い棒グラフが「団体信用生命保険」のカバーする補償額、オレンジ色の線グラフが今回の比較対象として作る保険となります。
これは、(1)10年定期の600万円の生命保険、(2)20年定期の800万円の生命保険、(3)30年定期の1000万円の生命保険、(4)35年定期の600万円の生命保険、を組み合わせることで実現することができます。だんだん面倒くさくなって来ましたが(笑)、計算してみましょう。

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30歳の場合

30歳のケースで、オリックス生命にて(1)〜(4)のそれぞれの保険料の見積りをしてみました。

(1)10年定期の600万円の生命保険

(2)20年定期の800万円の生命保険

(3)30年定期の1000万円の生命保険

(4)35年定期の600万円

保険料はそれぞれの期間(年額)で、(1)10228円、(2)16289円、(3)25714円、(4)18370円だったので

  • 1年目~10年目=(1)+(2)+(3)+(4)=70601円
  • 11年目~20年目=(2)+(3)+(4)=60373円
  • 21年目~30年目=(3)+(4)=44084円
  • 31年目~35年目=(4)=18370円

となりました。初年度から、団信の10.8万円と比べれば3万円も安くなっていますね。
累計で見ると、70601円×10年+60373円×10年+44084円×10年+18370×5年=184万2430円となりました。団信よりも手厚いのに、保険金額は40万円も安くなりました。35年で40万円の差はあってないようなものですが、初年度のように収入が少ないうちの年3万円の差は大きい気がします。

35歳の場合

面倒なので画像は載せませんが、35歳のケースで計算したところ、
保険料はそれぞれの期間(年額)で、(1)12940円、(2)22435円、(3)35788円、(4)25535円だったので

  • 1年目~10年目=(1)+(2)+(3)+(4)=96698円
  • 11年目~20年目=(2)+(3)+(4)=83758円
  • 21年目~30年目=(3)+(4)=61323円
  • 31年目~35年目=(4)=25535円

となって、累計で約255万円となりました。おっと、35歳の段階で既に団信の223万円を越えてしまいました。保障がやや過剰にかかっていることも考えると、民間の保険会社が、団体信用生命保険よりも安いのは、大体35歳前後だということがわかりました。

民間の生命保険会社が有利になる忘れがちなポイント

この他に民間の生命保険のほうが有利になるポイントとして、「生命保険料控除」は団体信用保険には適用されないということがあります。所得税と住民税の減額で10〜20%程度、実質保険料が安くなります。また、団信の保険料は、加入者の平均年齢が上昇すれば見直される(実際、2009年に25%程度値上げされています)ので、将来的には団信はもっと値上がりしているかもしれません。民間の生命保険であれば「つぶれない限り」は同条件で保障が続くので安心です。

結論:35歳以下なら団体信用保険に入らない方法を検討するべし

結論としては、35歳以下であれば民間の生命保険をあれこれ組み合わせて「オリジナル団信」を作ったほうがお得になります。ただ残念なことに、銀行のローンに入る場合は、銀行が団信相当の保険料を負担(金利にあらかじめ入っている)してくれたり、銀行指定の保険に加入が義務付けられていたりすることも多いので、最初から選択肢が無い可能性があります。フラット35のように団信加入が任意となっているローンを利用する場合であれば、必ず比較検討してみるべきだといえます。

余談:高齢になってから生命保険に入るくらいなら、投資用物件を買って住宅ローンを組んだほうがまし?

フラット35は、80歳までに住宅ローンを払い終えるのであれば、誰でも利用することができます。60歳の時点で20年間の定期生命保険に入ると10000万円あたり約20万円でした。もしかしたら、年をとってから生命保険に入るくらいならアパートでも建てて、割安の団体信用生命保険に入ったほうがよかったりするのかもしれません。(投資家として目利きでなければやってはいけませんし、こういうひとが続出すると団信の制度が崩壊しますが…)

余談2:オリックス生命は3000万円以上の保険に入れなかった

一番安いと豪語するオリックス生命ではありますが、ネットから入れる割安な生命保険の上限は3000万円となっていました。なので、高額なローンを組んだり、家族のための保険も併用するなら、上限4000万円となっているネクスティア生命や、上限1億円のライフネット生命と組み合わせたりするといいと思います。

余談3:そもそも「収入保障保険」を使うという手があった

この記事では団体信用生命保険と同等の保険を作るために複数の定期保険を組み合わせていましたが、その後調べてみると、実は「収入保障保険」という保険を使うことで、このような複雑なことをすることなく団信相当の保険をかけることができるようです。特にたばこを吸わないような方の場合、非喫煙者割引などによって大きく保険料を削減できるので、ざっくり40歳以下の方であれば民間の保険を積極的に検討してみるのが良さそうです。

非喫煙者割引を利用した格安保険には対面でしか加入できない!

この記事を執筆したのは2012年時点だったのですが、その後各社の保険料引き下げ競争もあり、現時点ではもっと安くおさえることができるようになっています。そして、前述のように非喫煙者割引を利用した収入保障保険を利用するのが2014年現在においては最安な選択肢になると考えられます。その場合ニコチンの検査等をするために対面での加入が必要になりますので、保険相談サービスの利用が正直なところてっとり早いです。

本記事に書いてあるような節約を目的としている場合は、冒頭に書いたように保険相談サービスの保険のビュッフェの利用がオススメです。利用する際に、「団信と同じ保障を生命保険を使って安く実現したい」と問い合わせると目的に適ったコンサルティングを請けることができます。

保険相談サービスは、私の経験上だいたい2時間程度で終わりますので総額数十万円〜数百万円節約できることがあることを考えれば、団信の見直しの可能性を検討するためにも、是非とも積極的に活用しておきたいところです。

また、家を購入するときの「もうひとつの保険」である火災保険についても、各社プランと価格が異なるので比較検討してみることをオススメします。大手から新興系損保まで含めて10社から見積もりできるサイトを利用するとよいでしょう。

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