この本は『週刊ダイヤモンド』2012年4月21日特大号の「騙されない保険」大特集に加筆修正したものです。さまざまな観点から保険を見つめるのに役立ちます。保険会社や保険を扱っている銀行の宣伝文句を鵜呑みにしないような知識を身につける必要性、FPの意見を交えた生命保険ランキング、節税や相続対策等の目的別保険の活用について、乗り合い代理店の公正性やオススメ地震保険まで載っています。また短期少額保険、こども保険(学資保険)、自転車向けの保険についてなどの切り口からも論じています。
CMやパンフレットを批判的に見る力がつく
保険会社の誇大広告の常套手段を大胆に解説するところから始まります。手法として、架空のパンフレット「ダイヤモンド医療保険の”悪徳”パンフレット」というものを作成し、それに対してメスを入れていきます。これを読むと、保険を選ぶ上で、パンフレットや公式ウェブサイトだけを見ていたら、知識が偏ってしまうことを再認識できます。
FPが自分が入るならという観点で選んだ保険ランキング
2章では医療保険、ガン保険、死亡保障の3分野について、プロ20人が保険を厳選しています。それぞれランキング上位のものについての解説やFPのコメントも載っています。死亡保障については、「健康体であればさらに安い保険ランキング」に加え、「整理資金目的の終身保険ランキング」、「貯蓄目的の終身保険ランキング」が載っているところに独自性があり、検討している人にとって嬉しい情報です。
銀行で売っている保険は危険
銀行は一時払い終身保険や個人向け年金などを取り扱っていることがあります。一時払い終身保険の銀行窓口販売に関するクレーム件数が急増しています。銀行で販売されていて「定期預金よりお得ですよ」と聞いて契約してしまう人が多いようです。「銀行だから元本割れすることはないだろう」という思い込みを持ってしまい、後々困るケースが後をたたないそうです。同じ「一時払い終身保険」でも、保険会社直販のものと比べ、銀行で販売されているものは誰に対しても売りやすいように医師の審査や健康状態の告知を簡略化していることが多いそうです。そのぶん保険料が高く設定されていることが多い事実も指摘されています。
「個人向け年金」については定額型(円建て)、変額型、定額型(外貨建て)の違いの特徴やメリット・デメリットをまとめています。が、その上で、ひとつの提案として「個人向け国債(変動10年)」を挙げています。元本保証で1年経てば解約できるためです。さらに、金利や仕組みについても図を掲載した上で解説しています。
乗り合い代理店とその公正性
複数の保険ショップを比較した上で、基本無料で相談に乗ってくれる保険代理店が人気で、急成長をしています。そもそもなぜ代理店では「無料相談」で経営がなりたっているのかというところから解説をし、公正性についての疑問を検証すべく代理店3店舗に対し覆面調査を行い、その結果を載せています。
覆面調査は事前に前提となる条件に応じて、FPの山本俊成 氏が作成したプランを作成。同じ条件を代理店に提示し、その結果を山本氏がチェックするというものです。それぞれどんな案内であったか、どういう点が不足であったか等厳しくチェックしています。
FP山本氏の評価 | |||
ほけんの窓口 | 保険クリニック | 保険見直し本舗 | |
死亡時の費用 | ◎ | ◎ | △ |
生活費リスク | ○ | ○ | ○ |
医療費リスク | △ | ○ | △ |
学費・老後リスク | ◎ | ○ | ◎ |
保険料 | △ | ○ | ○ |
この本を読むと保険業界に蔓延するワナを見抜けるようになる!
この本を読むと、保険会社の数字のマジックと巧みな言葉のレトリックを見逃さないための知識が分かります。実態に合わないことが少なくない現在の保険を例に挙げながら、実際のデータ、例えば「平均入院日数」を根拠に「大半の人には60日型でも元を取ることは困難」だということを説明しています。引受基準緩和型保険の実情についても、給付金が同程度の一般的な医療保険と比べると倍近い保険料になっているうえに給付条件も厳しいため、支払った保険料以上の給付金を受け取ることはかなり難しいということが書かれています。無選択型(告知の必要がない医療保険)はさらに厳しいということが分かります。
保険会社の説明は、当然ですが「保険がいかに必要か」ということを読み手に訴えかけるものです。保険会社が根拠にしていることは「嘘ではないが、実際問題今の年齢では必要のないこと」や「嘘ではないが、万人に通ずるものではない」などということはざらに存在するのです。保険代理店も完全に公正であるとは言えません。保険を売る側としては、どうしても数字のマジックと言葉のレトリックを抜きには語れない面がありますが、それを見抜くことができる力の付く本です。
よりよい条件の保険を選ぶために
生命保険や医療保険に賢く加入するには、複数の保険商品を比較するのがお勧めです。そこで1社専属でなく、複数の保険会社と契約をしているFPと相談できる保険のビュッフェ!というサービスを利用するのがオススメです。各社が力を入れている保険だけをそれぞれ”つまみ食い”して良いとこどりをすることができます。FPは、自宅だけでなく喫茶店、ファミレスなど、どこでも指定した場所にきてくれますので忙しい方でも大丈夫です。当サイトの管理人も利用してみましたが、初回の相談ですぐに保険の契約を求められることはありませんので、まずは各社のパンフレットを見せてもらうといった使いかたもお勧めです。
自宅に来てもらうのはちょっと・・・という場合は、お店を構えている保険ショップがおすすめです。その場合は、日本最大級の保険ショップ「みつばち保険」や、北斗晶夫妻のCMで有名な「保険見直し本舗」など複数のチェーンをまたがって検索できる保険ショップの検索・予約サイトの「LIFULL保険相談」がおすすめです。チェーンによって、駅チカだったりショッピングモール併設店が強かったりと特徴があるのでライフスタイルに合わせて便利な立地の店舗を見つけるのがオススメです。